ottoesetteの日記

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かぼすの果皮の緑化

鮮やかな緑色を特徴とする、カボス果皮にはビタミンやミネラル等の栄養素を多量に含んでおり、食品としての有効利用が検討されている。
また、食品の色は購買意欲と直結しているため、食品加工、販売に重要なファクターである。
しかし、加熱加工を行う際にカボス緑色が茶色に変色することが問題となり従来は大半が廃棄物として処理されていた。
このように加熱加工に耐える“緑色”を有する食品は極めて少なくその開発が求められていた。
そこで、色調の保持に関する技術開発が行われ、現在ではカボス果皮を真鍮釜中で、加熱浸漬処理を行うことで再び緑色を呈することが報告されている。
実際に、調理過程で加熱処理を伴う商品として緑色を保ったすだちマーマレードが加工販売されている。
果皮の緑色変化の要因として真鍮の主成分であるCu、Znによる影響と考えられるが、詳しいメカニズムは不明の点が多い。
本研究では、Cu、Znのみならず、Fe、Mn、Co、Srといった他の金属イオンを添加し、色調変化処理を行うとともに、
処理後の果皮中元素濃度を調査して果皮の色調に及ぼす金属の影響を明らかにすることを目的としたものである。
この研究の中で色調変化処理を行う際に処理液中にCuイオンが存在する場合のみ色調変化が起こり、茶色に退色した果皮が再び緑色を呈色することが判明した。
これは、クロロフィル中心部のポルフィリン環とCuが錯形成し、銅クロロフィルとして存在することで緑色となったものと考えられる。
色調変化処理前後での果皮中存在濃度を比較してみると、処理後にはCa濃度は乳酸カルシウムの影響により存在濃度が増加していた。
また、Cu濃度が大きく増加しており果皮中に十分存在していることが判明した。
そこでCu添加量を変化させたところ、最低1 mg/kgで色調変化が見られ、製品として取り扱うための十分な緑色を発色するためには100 mg/kg以上の添加量が必要であることが判明した。今後、果皮への金属元素の取り込み機構をさらに解明し、生体にとって必須な微量元素に関連して、すだち果皮の健康食品としての有効利用を視野に入れて研究をする予定である
 
 
1. 緑青を生成した銅鍋にカボスを入れ、カボスが浸るまで水を加える。ごく弱火で50℃まで火を入れて、そのまま常温で冷ます

2. 再び50℃まで火を入れて冷ます。この工程を3回繰り返す

3. 煮崩れに気を付けながら、鍋の脇から流水で水を入れ替える

4. ごく弱火で80~90℃まで火を入れて、そのまま常温で冷ます。冷えたら、鍋の脇から流水で水を入れ替える

5. 再び80~90℃まで火を入れて冷まし、水を入れ替える。この工程を3回繰り返す

6. 別の鍋に水と砂糖を入れて煮立てて蜜を作り、その蜜にカボスを浸し冷ます